JCCIM企業訪問第2回 トヨタ・アルトナ工場見学報告

メルボルン日本商工会議所第2回目企業訪問を2017年5月18日に実施、今回はトヨタ自動車アルトナ工場を訪問いたしました。以下報告です。

冒頭、バトナー社長などによる歓迎挨拶に続き、TMCA担当部長より会社紹介及び製造撤退に向けた取り組みの説明があった。

会社紹介では豪州における車両販売の状況、自動車業界の将来動向、2014年の製造撤退発表から今日までの重点取り組み事項(安全、品質、生産性、人材育成)等について説明された。

会社紹介の後は、2グループに分かれ、アルトナ工場を見学した。

1978年にエンジン工場として操業を開始したアルトナ工場は、1994年にポートメルボルン工場から車両製造を移管し、今日に至る。78ヘクタールの広大な敷地内に、組立、塗装、溶接、エンジン等の7つの工場があり、現在カムリ、カムリハイブリッド、オーリオン(カムリ6気筒エンジン車)の3車種を生産している。今回は組立工場と溶接工場を見学することが出来た。

 

建物内はクリーンで明るく、すっきりとした無駄のないレイアウトであることにまず驚かされた。溶接工場では複数の巨大なロボットアームが同時に伸び溶接をするさまが圧巻であった。また、組立工場では、ロボットをフル活用しつつ、各工程では技能員が次々と大物・小物部品を組み付けていき、車の骨組みが次第に見覚えのあるデザインに変貌を遂げていく。工場内には従業員教育のための道場や、効率よく仕事するための工夫や改善が随所に組み込まれていた。また工場の敷地内には日本庭園も設置されており、引率のローカル社員が「天気の良い昼下がりは従業員の憩いの場になる」と教えてくれた。

 

工場内では随所に安全第一の配慮が見受けられた。製造終了に向けた”Last Car=Best Global Car”の取り組みの一環で、「最後まで従業員には絶対に怪我をさせない。健康で安全に、トヨタを卒業してほしい」との思いから、従来以上に安全管理の強化に努めているとの事。またこの”Last Car=Best Global Car”の取り組みのなかには、「最後まで品質向上を追求し、お客様に最良の車をお届けする」、「最後まで改善を継続し、企業責任を果たす」という目標も掲げられている。全員が心を一つにして、”Last Car=Best Global Car”を実現するために、従業員のモチベーション向上に繋がる様々なイベントを開催しており、いくつかの実例も紹介された。

 

組立工場見学後は、従業員の再就職支援のために設置されたDRIVEセンターを見学した。DRIVE (dedicated, ready, individual, vocational + energised)センターで は、製造撤退後に離職する従業員のための様々なサポートプログラムを提供しており、従業員が専門相談員に将来のキャリアプランを相談することができ、また再就職に繋がる資格取得や専門技能訓練の費用についても会社がサポートするというものである。館内にはすでに進路を決め一歩を踏み出した従業員の体験談が冊子にまとめられており、それぞれのストーリーに笑顔の写真が添えられていた。身近な成功例を読むことで進路に悩む従業員が強く勇気づけられるであろうことは想像に難くない。また館内の天井には、各々の従業員が目標とする職業を書き記した人型カードが満天の星のように吊り下げられていた。苦渋の決断であったであろう2014年の製造撤退発表から3年が過ぎ、その道のりは決して平坦でなかったと思うが、従業員がしっかり前を向き、力強く歩きだしていることが感じられた。またその足元を支えているのは、企業として全力で従業員の将来をサポートするという強い意志であり、それはしっかり”Last Car=Best Global Car”の大きな柱の一つとして組み込まれ、実践されていた。

 

今回のアルトナ工場見学を通じて、「トヨタ生産方式」を実際に目の当たりにすることが出来ただけでなく、「しっかり将来を見据え、置かれた状況の中で最善を尽くし、チャレンジし続ける」姿勢を目で見、感じることができ、大変多くのことを学ばせていただいた。このような貴重な機会をいただいたことに対して、安田会長ならびに、TMCAの皆様に衷心より感謝致します(JF)

 

残念ながらこの企業訪問の機会を逃してしまった方に、2013年4月にナショナルジオグラフィックで放映された、アルトナ工場操業の様子を取材したビデオをリンクしておきます。圧巻の溶接シーンも含まれていますので是非ご覧ください。