メルボルン日本商工会議所は、H & H Lawyersと共催で「オーストラリア雇用法・Fair Work Actに関するオンラインウェビナー」を開催いたしました。
当日のウェビナーでは、H & H Lawyersより、ティンロク シェ(パートナー弁護士)、 上田 大介 (シニア・アソシエイト弁護士)、境田 南美 (弁護士)の3名にご登壇していただきました。
最初に、境田氏より「Right to Disconnect」とは何か、考慮するべき事項を役職の違う従業員を例にあげて、説明して頂きました。また、「Right to Disconnect」とGeneral Protectionsとの関係性、および雇用主が取ってはいけない対応についても、事例を基に詳しく説明して頂きました。権利を侵害したとしてFair Work Commissionに申し立てられたケースの紹介、雇用主も従業員と同じくStop Orderを求めてFair Work Commissionに申し立てができること、そのためにも雇用主として業務時間外の従業員への連絡に関する適切なポリシーを策定し、社内で徹底することも重要であるとのお話がありました。今後Fair Work Ombudsmanからのガイドラインが出た際は、もっと明確になるだろうとのことです。
次に、ティンロク・シェ氏からはWork From Home (WFH)についての説明があり、従業員が当然の権利と考えているWFHは個々の雇用契約書によるもので、契約書に記載がない場合は、雇用主は拒否できるが、一定の条件を満たした従業員はフレキシブル・ワーク・アレンジメントを求める権利を有するとし、その権利の説明、その権利を申し立てられた場合の雇用主としての対応法、実際にあった事例も紹介して頂きました。別途、在宅勤務を雇用契約に含める場合は、雇用契約書に含めるのではなく、ポリシーにいれ、柔軟性を持たせることにより、後日在宅勤務の日数などについての変更が可能といったこともご教示頂きました。
最後に、上田氏より実際の不当解雇が認められた例と認められなかった例の違いを詳しく説明して頂き、不当解雇と不法解雇の違いについても説明して頂きました。注意すべきは、不法解雇の方で、不法解雇は健康・労働者の権利に反するものなので、申し立てがあった場合は、雇用主に不利になるとのことでした。また、労災についてもお話があり、在宅勤務していた従業員のけがで労災が認められたケースと認められなかったケースの違いについてもお話がありました。
質疑応答において、オーストラリアでのハイブリッドワークの定着、また事務職に適用されるClerks AwardにWFHの規定を導入する動きがあるとのことも、説明して頂きました。